NZ生活

海外移住をパートナーシップビザでやろうとするときの問題点や落とし穴について書きます

こんにちは、tonocchoです。海外に住んでいるとたまにパートナーシップビザについての話題が目に入ります。

ワーキングホリデーで行った先にとても良いパートナーがいたのでパートナーシップビザを取得してずっと住みたい、というようなロマンティックなものから、パートナーシップビザを取るやつは永住権のチーターだくらいの批判まで聞いたりして、このビザについての情報ってそういえばあまりないよなと思いましたので、書いてみようと思います。

今回の情報はNZの移民局に掲載されたビザの情報や私が調査した内容を書いています。できるだけ正確に書くよう努力はしていますが、本当にこのビザを取得するような場合は必ずアドバイザーに相談をしてください。

パートナーシップビザって何?

まず、パートナーシップというのが何かという話ですね。

次に基本的な取得方法と、実際かんたんなのかどうか、ということをサラッと書いてみます。

NZにおけるパートナーの定義

NZにおけるパートナーの定義は、移民局にて定められています。これによれば、正式な結婚であるMarriageをしている、Civil Unionである、もしくはDe Factoである、のどれかがパートナーシップになります。

NZの結婚制度は日本とは大きく異なっており、まず、日本と同じようなMarriage(結婚)、結婚と同等ではあるものの同性間でのパートナーシップを認めるCivil Union(いまはMarriageも同性間で行えるようになっています)、最後に、De Factoという事実婚です。これらはすべて結婚と同等のものとみなされています。

どうやれば取れるの?

パートナーシップビザは、申請するに当たり、良好なパートナーシップが継続していることを証明する必要があります。

これを証明するには、例えば一緒に住んでいる証明や、公共料金の支払いが連名であること、家の賃貸契約が連名である、などがあります。

また単に連名の書類を出せばいいというものではなく、周囲の人が良好な関係を維持していると認識していることや、一緒に遊びに行っていること、子供がいる場合は協力して子育てをしているなどがあり、これらも証明する必要があります。

これらについては例えば一緒に遊びに行ったときの記念写真や、周囲の友人に移民局に向けたレターを書いてもらう、などがあるでしょう。他にも二人で何かを計画して決めている証拠なんかもあると良いようです。

ひっくるめて言うならば、きちんと合意に基づいた二人が結婚、ないしは結婚と同等の関係を築いており、対等の関係で生活しているか、ということが重要なように見えます。

通常のビザに比べたらかんたん?難しい?

気になるのはこの点ですね、パートナーシップビザは結婚さえすれば手に入る、というものではありません。

パートナーシップビザは、まずパートナーシップワークビザを取得し、その語パートナーシップレジデントビザを取得します。

取得後も一定期間関係を継続する必要がありますので、かんたんにタイムラインで書いてみることにします。

  1. パートナーシップを始める、パートナーシップワークビザを申請するための準備を始める
  2. 一定期間パートナーシップを継続したらパートナーシップワークビザを申請する(申請期間が1~1.5かヶ月)
  3. その語1年間パートナーシップを継続したらパートナーシップレジデントビザを申請する(申請期間が6~7ヶ月)
  4. レジデントビザが取得できた後も一定期間(聞いた話では2年間)安定したパートナーシップを継続する

と言う流れになりますので、期間としては、スムーズに行っても大体3年くらいはかかる話になります。

通常のレジデントビザを目指す人たちは、英語を身につけることや就職して職歴を継続するなどの苦労はありますが、順調に行けば1〜2年程度で取得できる、パートナーシップビザのようにパートナーとの良好な関係を一定期間継続しなくてはならない、と言う条件がない分苦労する点が違う、と行ったほうがいいでしょう。

また、他のビザと同じく、レジデントビザの申請中に現行のビザが切れてしまいそうならその際にワークビザを申請しなくてはなりません。

関門は少ないが時間のかかるパートナーシップビザvs関門は多いが時間の短い他、と行った構図と見たほうが良さそうです。

パートナーシップ自体の落とし穴

パートナーシップビザは就職したり学校を卒業したりして手に入れるワークビザとは違う難しさがあることはわかったと思います。では実際にどういう苦労があるか、というのを調べてみました。

まずわかっておくべきことは、パートナーと一緒に住んでいなくてはならない、という点です。その上で苦労しそうな点を書いてみます。

カルチャーギャップや言語の壁

まずありそうなのがカルチャーギャップ、言語の壁です。日本人が英語の人と結婚したときに自分がしたいコミュニケーションとできるコミュニケーションはかなり違うものになります。基本的に言いたいことの一割も言えなくなると思ったほうがいいと個人的に思っています。

次に文化的な違いです。自分にとってどうでもいいことが相手にとっては重大なことだったり、パートナーが何気なくやったことや行ったことが自身には想像以上に重たく響くことがあります。

そういった場合に相手と話し合って相手に改善を求めたところで改善してもらえるとも限りませんし、場合によっては「君はこれからニュージーランドに住むんだからこのくらいはなれてもらわないと困る」くらい言われるかもしれません。

この辺はご自身の覚悟の問題でもあると思いますが、異なる文化、異なる言語というのは想像以上にストレスがかかるということは知っておいたほうがいいでしょう。

DVなどの家庭内の問題

次にDVです。パートナーシップビザを申請しているときに相手がDVをするようになったらどう対処すればいいかわかりますか?

ニュージーランドは実はDVが深刻な社会問題になっています。

DVの年間通報件数は10万件に達することもあり、女性の33%が一生に一度はDVを経験すると言われています。

実際にどういうDVがあるか、ですが、まず殴ると言った暴力、次に無視や侮辱、脅迫と言った精神的DV、経済的DV、性暴力、社会的に孤立をさせると言ったものがあります。

これらは実際には犯罪なのですが、そのような状況に万が一なった場合にどうすればいいかは確認しておいたほうがいいと思います。

実はパートナーシップビザを持った人がDV被害にあった場合の特別なResident VISAであるVictims of Family Violence Resident Visaがあります。ただこれを申請するためにはDV被害にあったことを証明する必要がありますし、申請期間中どこに滞在するのかと言った問題ももちろんあります。

カップル間のパワーバランスの偏り

次にパートナーシップビザというのは「スポンサーをしてくれるパートナーがいるから申請できるビザ」という点です。これはつまり「パートナーがスポンサーをやめたら成立しなくなるビザ」ということでもあります。

ここで懸念すべきことはパートナーシップビザにチャレンジするということは、カップル感のパワーバランスに変化が生じる、という点です。

申請者がすべてやる場合の負担の偏り

まず、パートナーシップビザのあらゆる申請を申請者がやる場合です。

とはいえスポンサーをする側もある程度の書類を提出する必要がありますが、その辺を協力してくれない場合にストレスを感じたりします。

スポンサーをしている側はこれまでどおりの生活をしているのに自分ばかり大変になるという不公平感も生まれるかもしれません。

経済的負担

パートナーシップビザを申請する際にかかる料金というのは、合計で1万ドルを超える話になります。この負担は生活とは別にかかってきますから、きちんとした収入がないと払いきれなくなる可能性もあります。

スポンサーがスポンサーをやめる・関係の破綻

特にこのポイントは重要だと思います。

パートナーシップビザは二人の関係が継続しているからこそもらえるビザなので、二人の関係が終了すればビザは取り消しになる可能性が非常に高いでしょう。

そのときに帰国をするのか、別のビザを申請するのか、と言った問題が出ます。

裏を返すと、スポンサー側はあなたの滞在に対して絶大な力を持っている、ということでもあります。

パートナービザでも通常のビザでも最終的に必要なものは変わらない

記事の最初の方にパートナービザは関門こそ少ないものの時間がかかる、と書きましたが、IELTSや就職証明が必要な通常のビザと比べると実は楽でもなんでもありません、というのも最終的に必要なものは変わらないからです。

スキルドマイグラントはしっかりした収入のある職に就いており、また英語もしっかりできることを証明する必要がありますが、パートナーシップビザで永住権を取得しても生活するためにはそれなりの仕事に就く必要があり、そのためには英語が必要になります。

また、万が一関係が破綻したりしても、通常の永住権を目指しているのであればそのまま生活を継続できますが、パートナービザの場合はその時点で滞在から怪しくなってしまいます。

スキルドマイグラントとの比較

最後に私の経験ベースですが、スキルドマイグラントとの比較を書いてみようと思います。

スキルドマイグラントを取るときの過程は大体以下のようになります。すでに職歴や学歴があるような場合はまた多少変わると思いますし、日本で就職先を見つけたりすれば最初の2ステップはスキップできると思います。

  1. Post Graduate Diplomaに通う(1〜2年、分野によって違う)
  2. Job Search Work Visaを取得する(1年有効)
  3. 仕事を見つける
  4. 一定期間働く
  5. Resident Visa (Skilled Migrant)を申請する
  6. VISAが降りる(この時点で退職しても別に構わない)
  7. 2年間生活したらPermanent Resident Visaを申請する(ここはパートナーシップと同じ)

英語ができない、IELTSで所定のスコアをマークできない場合はEAPと言うクラスに一定期間通う必要があります。これは1の前にやります。

パートナーシップとの最大の違いは3つあり、一つはワークビザを手に入れるまでの関門が多い、次にパートナーシップの状況が影響しない、そしてビザ取得後の自由度だと思います。

まとめ

全体的にパートナーシップビザの批判のような記事になってしまいましたが、私はパートナーシップで永住権を目指すのは、スキルドマイグラントで永住権を目指すよりも遥かに精神的なストレスが大きいと思っていますし、個人的にもあまりおすすめはしていません。

パートナーシップでビザを目指すのであれば、パートナーシップワークビザの間にできるだけ貯金をしておいてある程度の進路変更をできるようにしておくことが望ましいのかもしれません。

何事もなく良好な関係を継続できる人のほうが多いのかもしれませんが、リスクヘッジはしておいたほうがいいと思います。

ABOUT ME
tonoccho
50代を目前にした父親であり夫でありプログラマーです。2014年からニュージーランドに在住、ニュージーランドでの暮らしや趣味としてのDIY、写真、家庭菜園、そして仕事でもある技術系の話題を発信しています。
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